先生へ

海辺にこじんまりしたアトリエをかまへ軒にまだ青すぎるといってセーターを野ざらしにしていた。涙が出るほど懐かしい。どうしていらっしゃるのだろう。こっちおいでと、見せてくれたスクラップブック。すごい宝物を見せてくださった。小磯良平より数段うまいアカデミックな技法から徐々にずれてゆく形。どうしようってくらい切なかった。先生お元気でいらっしゃるだろうか。私は先生にやっちゃだめっていわれたことを片っ端から見てみました。痛い目見なきゃ解らない。痛いのは二度とゴメンだけど、先生の痛みを解るためには必要でした。お陰であわすかをを無くして、今に至ります。届きますように。元は詩人だったと聞いたことがあります。先生の言葉を読んでみたかった。先生のがあれば十分だ。そう思って絵筆を折った私です。