盆の入り

盆祭りの始まり。何日か前からスーパーの店先、コンビニの前までが盆の仕度の茣蓙だとかわらで作った馬や牛などを売っていた。
七夕とかお盆などという行事は夏も終わりに近づいた旧が似合うと思うが私の生まれた家では仏壇の前に一対の提灯が飾られ坊さんがお経を上げにやって来る意外は迎え火送り火ご馳走三昧などという特別なことを遣った記憶がない。
大きくなって胡瓜の馬や茄子の牛などという面白そうな事を家では何故やらないのだと聞くと祖母の嗜好でということだった。

曰く、特別なことをすると余計な邪気を呼ぶ、という。胡瓜の馬や茄子の牛を諦められなかった私がしつこくせがむと「おもちゃじゃないからだめ!世間様は世間様家は家。」こんなときの決まり文句で後を接げない。それから暫くそんな事はあっさり忘れて年を重ねているのだが最近お盆の風習はとても優しい行事なのだと思う様になった。あの世から懐かしい人を招いてもてなす。大人のままごと遊びのようでほほえましい。
祖母はそんなことに息の詰まる決まり事は似合わないと言いたかったのではないだろうか。親戚縁者、義務で集まるつどいになるのは本末転倒。客人の好物でも拵えて共に一献・・脅かしっこは無しよ。