後の祭り

麻疹が流行ってる。水疱瘡おたふく風邪麻疹など生涯一回コッキリの病を昔は命拾いの病といい、それらを無事乗り切った暁には祝ったと聞く。
私と同年輩の人間はこれらの病を就学前に済ますのが普通であり、おぼろげな記憶のうちに済んでいるべきもので、はしかの子供の出た家に遊びに行かされるくらい進んで受けるべき試練と皆が思っていた節がある。
私はというとこうしたことも晩生であって小学校も高学年に差し掛かる春患ったという事をいささか面目ないことのように記憶していて、ろくに風邪も引かない丈夫な子供は病の最中を覚えていない。唯新しい教科が増えすでに稼動している学校に行っても良しのお許しが校医から出るまでの間、一歩も家から出られない回復期の奇妙な時がキーワードのように残った。
今思えば校医の許可と言うのはいくら幼いうちに済ましてしまえば軽く済むとはいえ記憶が飛ぶほどの熱が出るものだから命は拾っても後遺症の心配を見ていたのかも知れない。呑気なのは本人だけだったのだ。
命拾いはしてみるもんだ。良くがんばったね出ておいで。おずおずとからかわれながらも晴れがましい登校日を思い出す。