こまった

何も思わないわけでもない。あー今日は雨かと水の音を聞きながらうつらしていると雪だというので飛び起きた。甘酒を当り鉢で丹念に拵えてから長靴を履いて外へ出て路肩に溜まった霙の雪を蹴散らしたりしていたが何が不満なのか。この冬が精一杯降らせてくれた雪なのに。
幼いときの大雪の日、側溝に嵌って大人たちをあわてさせたことがある。あわてた話はあとから聞いたのだが本人は雪の中に浮かんでいるような淡い光に包まれて奇妙な浮遊感を記憶に留めた。