新橋

汽笛一斉新橋をの新橋である。しかし私は新橋と聞くとまず新橋芸者のトレンドカラーである青色を思い描く。
祖母は芝(今の東京タワーあたり)の出で、人力に乗った新橋芸者と赤坂芸者が行きかうところをみていた。赤坂の芸者は政界を得意客に持ち、新橋は商人筋だったという。政界のざわめきを見てこんなことを思い出したりしている。山手の丘の洋館に住まう政治家のお妾の淡い面影も思い浮かぶ。甲斐性とは物事を立派にやり遂げていく能力を言うが、かいがいしくけなげな様という意味もある。男にも女にも甲斐性のあった時代はあったのである。
裏は知らず彼女たちはその佇まいに卑しさを決して見せていない。心意気とは上っ面事じゃないよと背中で語る。そんな記憶の絵みたいなものがあって(祖母との合作ではあるが)思い出してしまうと今のはけち臭い騒動にしか見えなくなるので困る。