のの池

ののというのは神仏・日月など、すべて尊崇するものの称。
ととさんやあのののさんがかかさんか  一茶
幼児語で神仏のことを言う。ひらがなののという文字に由来しているとばかり思っていて調べてみてなるほどと納得した。
社の後ろにケヤキの大木があって、根元に直径一メートルほどのいつも濁っていて薄く緑を帯びた水溜りがある。それをのの池といって水が湧いている気配も無く流れ出た形跡も無い。日も差さず謎めいて垣を作らなくても人を寄せない。一度覗いて見た事があって、滝つぼのような深さを感じた。もしかしたらもっと深く異界へと通ずる口か、などと引きずられるような空想が湧いてくるのに気がついて急いでその場を離れた。
幻想や怪奇の種は普通の暮らしの中に転がっていて特別なものじゃないのだ。神様がお留守の本月ならば。。止めておこう。雷がない月、醸成の月という意だともいわれる。去られちゃ厭だし。八百万といわれるけれど神様が集まって話し合っても怒号や罵声は無いのだろうな。