雪が降ると

雪の日に必ず思い出す記憶があっる。小学校のとき雪国交換会という催しで新潟の豪雪地帯の民家に数日厄介になったことがある。私が割り当てられた家は飛び切り旧式な民家で、居間には炉があって台所は一段下がった土間にあり、その脇に仕切りのない五右衛門風呂がある。さらにその奥にも仕切りが無く、牛と馬が飼い葉を食んでいた。天井は高く深い闇は梁へと続いていたのだろう。年寄りがいて父母がいて兄弟がいたような気がするが静かな人たちで十分に雪に囲まれた静けさを味わったし心地もよかった。大雪でほとんどスキー板も履けなかったし、潰れる恐れがあったので作っておいてくれたかまくらへも入れなかったが、未だに雪が降ると牛の隣で五右衛門風呂につかり雪の気配に耳を澄ました感覚が甦りなんとも暖かい気分になる。寒いからだろうか、家畜の匂いは全く無かった。