きたろう

あれから水木しげるは起きて来たのだろうか。
ゲゲのきたろうの連載が結構続いていた頃に何かの雑誌で(ガロだったか)きたろう誕生の話だけが掲載されたことがある。小泉八雲日本霊異記にもあった気がする説話で、死んだ母親から生まれた赤子を父親が育てる話だったと思う。死臭漂う様な壮絶な絵図らに衝撃を受けたことを思い出す。細部まではおぼえていないが、自分の目玉を使って赤子に水あめを与えて育てる逸話や朽ちてゆく母親の遺体などの描写は南洋の最前線で戦った作者自身の体験が基になっていることを思うと記憶だけでも悪夢を見そうだ。架空の妖怪に形を与え闊歩させたのだからすごい人だなと思うけど、彼は実際に見ていてあれは架空ではないのかも。