鬼灯

花屋の店先やらスーパーの入り口などで鬼灯の鉢を見かける。十日辺りにほおずき市があって売れ残りってわけじゃないだろうけど、ああいったものは、(朝顔とか釣忍とかも)何かの縁起の市で手に入れたい。
皮をむいて裏返しにして羽根突きの羽根のようにして、紅いトマトのような実を壊さないようにそっと揉む。子供だから、力加減がわからなくて、よく破裂させて服をよごしたが、根気よく揉んでいると中の種が外れて表に浮き上がってくる。その数が十分になったとき羽から実を慎重に外し、どろどろになった中身を出して綺麗に洗うと紙風船のような物ができる。祖母や父はそれを器用に鳴らして見せてくれた。海の近くだったので海ほうずきも小さな籠に数種類盛られて売っていて、それもせがんで鳴らしてもらった。ぶうぶうと蛙が鳴くような鈍く奇妙な音がする。
淋しげに鬼灯響く夏の夕