暑中休暇始動

植物たちが息を潜める夏枯れの午後。夏休みが始まったばかりだというのに、旧盆の頃みたいに妙に静かな時が流れている。
気も遠くなるような暑さの中、根津美術館の「いのりのかたち展」へ出かけてみた。予てから、新しくなった建物を見ておこうというのもあったし、庭も見たかった。どうせ暑いのだから、カフェで冷たい飲み物を飲みながらぼけっとするのも一興だと、軽い気まぐれを利用して出かけたのだった。
祈られることのなくなった仏たちは無表情に見えた。実際、現在の技術力を尽くして修復のなされた平安、主に鎌倉時代の絵画は似た様なトーンを持ち、単調。護摩や香で燻されたままでは鑑賞することもできない状態であったことは想像できるが、祈りの対象であった痕跡は抜けている。何所の寺に由来していたのかも定かにはされていないので、あー形ってそおいうことだったのねで終わってしまった。柚子スカッシュは美味しかったが、こう暑いと物を素直に味わって見る気持まで無くしてしまうのかも知れないとも思った。