巻繊汁

昨夜は寒かったのでけんちん汁をこしらえた。
狭い知識によれば味噌仕立てなのが薩摩汁で醤油仕立てがけんちん汁なのだが、薩摩汁はサツマイモを入れ肉は鶏肉という説もある。けんちん汁は建長寺に由来しているので、あるいはケンチンという典座が考案したのでそういうのだろうと勝手に思っていたのだが。。
巻繊とかいてけんちんと読む。巻繊とは禅宗を介して中国から伝わった普茶料理で、精進料理だ。「巻」は巻くの意で「繊」は細かく切るの意。野菜を千切りにして湯葉か油揚げで巻き上げ汁で煮たものといったところだろうか。うまそうだが思うけんちん汁のイメージとは違った。精進料理なのだ。
大根・人参・牛蒡に蓮根、シメジやエノキナメコも入れた。たっぷりの葱に豆腐、豚も入れた。豚を入れればトンとかブタジルというけれど、これをけんちん汁と言ってどこが悪い。托鉢の僧は生臭でも喜捨されたものは余さず有難く食すのが道理というものだろう。豚が入ってもうちのけんちん汁は僧房の典座が拵えた羹に倣った由緒正しき汁物ぞ。