風の言語

風が窓を打つと窓は小刻みに呼応するので、カタカタと鳴り、家の中まで揺れたようになる。今年は風が多く吹く。
外の辻で、あらゆる方角からやってきた風が、出会いがしらに大急ぎで情報交換をする。小声でひそひそと、或いは荒ぶる気持ちを抑えかねたように大声で遣り合うのを聞いていると、いい具合に眠気を誘うこともあり、うきうきと楽しい気分になることもあるが、今日は耐え難いほどいらいらと落ち着かない気分にさせられる。交換を終えるとまた、それぞれの方角へ遽しく散ってゆくのだが、それが物々しく不穏に思えるからなのだろう。