初めて見た花

ミントの花。知っている人は当たり前のように知っているのだろうけれど、ずっとミントの花ってどういうのだろうと思いながら、デザートの飾りだのお茶だののために盛大にむしり続けていたものだから、薄紫の小さな花が葉元に群れて咲くさまを見て偉く感激して嬉しくなってしまった。そして微かに香り、それは葉よりも甘く優雅な気がする。
しかし、うれしくなっているのは此方ばかりではなかった。都会の植え込みにしてはちょっと多すぎる蜂が、群咲く花に頭を突っ込んで夢中になって蜜を探っていたのだ。柔らかそうな産毛に覆われたような丸っこい形から、はな蜂の種類なのだと思うが、やはり蜂を見ると咄嗟に身構えるように緊張する。

昆虫好きの人は大概植物を知っているものだ。一方、植物好きはそうではない。
なんとなれば、昆虫を知るということは其の植物との関係を知るということであるからだが、園芸家は大切な花を食害する昆虫を目の敵にする。野の花さんぽ図鑑から

植物に対しても昆虫に対しても、そこまでの情熱を持っているわけではない。がうちの風船蔓も旨い蜜を出すらしく何種類かの固定の虫が集まってきていて、蜂は細身で大きく強面なやつなので少々恐れてはいるが相性がよいのであろう。野暮は言わずに刺されるのだけは注意して黙って見守ることにしよう。