頭痛外来

医者に頭痛を訴える患者というのは凄い表現者なのだ。
痛みというのは究極、個人的なものであって、決して他者と共有できるものではない。
頭痛によって脳が膨れるように痛み、更には頭蓋で圧迫されるようで鈍い痛みも加わる。痛みが続き耳鳴りがするのだが鼓膜を通してのものではないので、其れは耳鳴りとは言わないかもしれない。ともかく途絶えることがないので辛い。もしかして頭痛の原因は此の耳鳴りなのかもしれない。原因を突き止めようとするならば問診だけでは済まないのが本当のところだろう。。。
原因なんかどうだっていいんです。いつもの鎮静剤と頭痛薬をください。
誰もわかってくれない私だけの辛い痛みを抱えた、注射されたり採血されたりの痛みが大っ嫌いな患者で今日も待合室は盛況だ。みんな真剣な面差しで、如何に痛みを訴えるか、その表現を探って長い待ち時間を耐えている。「先生、頭の中を引っ掻き回されるように痛いんです」という患者さんもいますよ。と医者は穏やかに笑って処方箋を書いた。