つらつらと

松本清張が描くような小説がなくなったのは、政治にも経済にも巨悪がいなくなったからだとRVRで村上龍氏が言っていたが、それは政治や経済での話ばかりではないだろう。映画でも絵画でも巨匠というのが少なくなって、見るもの聞くもの、面白いけれど過ぎてしまえば記憶にも残らない。年年歳歳広く薄くが拡大しているように思う。オゾンホールのように
先ごろ人類の数が70億を突破して史上最多の人間が地球上にいる現在、人は地球からこぼれてしまわぬよう、一人あたりに割り当てられた感受性を畳んでこじんまりした価値観を持つようになってきているのではないかしら
昨今、何に対しても興味が薄く、気も漫ろが酷いのは、年のせいばかりではないのではないかと都合よく思ったりもする。若かった頃、年寄りが昔はよかった的なことを言うのは、こういうことだったのか、とは思うものの、若者に聞けよとは言えない
開戦の日だからなのか、戦争の特集番組が多い。戦地からの手紙なんか、旧の漢字なぞできちっと書かれていて達筆。あんな手紙、到底書けない私が今を嘆く資格があるのかともおもう