はるなんだな

冬の水やりは難しい。こう乾燥した日々が続くと、よっぽど水を欲しているだろうからと思うのだが、日が落ちると冷え込んで水分は氷るので、そうそうたっぷりと与えるわけにもいかない。
うちの日当たりの悪いベランダの雪もようやっと消えた。雪は少しづつ溶けたり蒸発しながら消えていったわけだけれど、そのスピードを植物は大いに喜んでいるように見えた。己の周りの雪を溶かして雪の筒の中で安堵したかのように佇む万年蝋の挿し芽はついたようである。
万年蝋とはローズマリーのことで、常に香りがするのでこの和名を配しているらしい。西洋ではマリアのバラとも言われているようだが、気まぐれのように咲く小さな薄紫の花は蘭の花の形に似ていて唇形花冠といわれる形態で、一見清楚に見えるがむしろ婀娜(あだ)っぽい。漢名、迷迭香は迷い滑り落ちた先は夢の国か、、、確かに連れて行かれるような中枢を刺激する種の香りがする。 
花自体に香りはあまりないように思う。暴れ龍のようなその木の中を巡る濃い樹液が強い香りを持つのだろうとおもう。