蛙の卵

AVRIL2012-03-11

近所の神社の裏に小さな弁天様の祠(ほこら)があり、祠の前には小さな池があって、ちょろちょろ僅かの湧水がたまって池を形成するような拵えになっている。昔は本当の湧水であったろうが、すぐわきの道は交通量が多く、周りは延々と宅地が連なって、いまや湧水などとうに枯渇してしまっているだろうけど、未だ絶えずに水が湧くような仕掛けがなされている。
今年もこの池に満々の水が張られた。そろそろなのかなと思って覗くと既に小さな池の半分をも埋め尽くす蛙の卵が産み付けられていて、あまりのタイミングの良さに驚く。
昔、この祠に蛇の形が浮き出た不思議な石が祭られていて、美しかったから、盗難にあったか、どこかにしまわれてしまったのか、突如、見えなくなった。そのころのこの季節にも、せき止められた水の中に大量の蛙の卵を見た。
今にして水のせき止めはこの神社の粛々と続く神事なのではないかと思うに至る。祭りは華々しく目立つものばかりとは限らないのである。
蛙は蛇への供物なのだろう。そしてこのあたりの氏子にとっては春の風物詩だ。
後ろ足の生えた御玉杓子ははたくさん見るのだけれど蛙になった姿を未だ見たことがない。不思議