八手愛好

AVRIL2012-04-23

俗称、テングノウチワとかテングノハウチワとかいい、漢名、八角金盤。
「手水鉢の側なる八手は・・云々」庭内でも裏の日当たりの悪い御不浄の掃出し窓より眺められる位置などにあって決して中央に出張ってくる植物の印象はない。夏など開け放たれた掃出し窓から見ていた大きな深い緑の葉が印象的で、癒しと清浄感に優れるため、この場所を割り与えられた植物という感じがある。
大きな葉と深い緑が与える安堵感、冬場咲く球形の面白い形の花。この植物とは知らずに実生の幼芽を拾い来て八手だと分かった時から記憶の底辺が浮上してきて、愛着を再確認している次第だ。
毛吹草ともいわれる所以もわかった。芽吹きがぜんまいとか蕨のようで、茶色の毛におおわれたごつい新芽を出し、物凄いスピードで育つのである。シダ類の様に、植物の祖に近い種なのではないかと思っている。常緑低木とされるけれど、樹木ではないような気がする。
八手が生息する秘密の場所を一つ知っていて、どうぞ気が付く人のなきようにと密かに祈りに付け加えているのだが。。とある神社の御神木となっている銀杏のとても高い位置に宿り木のように生息しているのだ。もう今頃は銀杏の若葉に隠れてしまったと思うが、あの八手はかっこいい。夏の宵、どこからか飛来した天狗が葉を一枚捥(も)いで一休みするために引き上げたように思える。
気が早いが、うちのはこの冬花をつけるだろうか。