蛇苺

AVRIL2012-05-23


246沿いに一階建ての何とも味のある建物で春蘭とか海老根の専門店があって、店の前の一角の小さな庭が憧れであった。立て直すということで今は閉めているが、あの庭。。。残らないだろうな
苔とか、野草とか、石とか、鉢とかが草ぼうぼうのなかに捨ててあるように置いてある。しかしどれ一つ主の断りなしに触ることが躊躇われる絶対の構図の中に納まっていて、その中を赤い実をつけた蛇苺がはびこっていたのである。
なんかしらの植物を買うときは、ビニールポットの中に苔が生えていたりするものを選んでしまう位の苔好き、猫飯の種を撒いたり、線路沿いのドクダミを失敬したりの雑草好きとしてはたまらない場所であった。
だから、去年の秋、蛇苺の生えている場所を覚えておいて、はじっこを一寸だけ頂いて鉢の隅に飢えておいたところ、この春は盛大に伸びて黄色い花を沢山咲かせ、現在は赤い実は熟れきってくすみ、美しい。
蛇苺というのは、伝い伸びる性質でつけられた名前かと思っていたら、蛇の食べる苺の意味だそうで毒はない。そんな大きくない蛇がこの実をほおばっているところを思い描くと微笑ましい。