小さなガラス片

少し前の竜巻の被害があった地区で、今年の田植えを見送る理由として田の土に混じったガラス片のことを言っていた。
東北の震災の折もそうだったが、ここ数年の巨大化する台風や竜巻の被害。そのたびに木端微塵に粉砕されてばらまかれたガラス片が田の泥や畑の土に紛れ込んで、耕作をする人の手のなどに薄いけれど鋭い傷を作る。。そう云った傷は農地で働く人にとっては茶飯事で大袈裟にするほどのことではないのかもしれない。何かの拍子でに竜巻がばらまかなくったって割れた皿やコップのかけらが紛れ込むことはあるだろうし。しかし今回、その量はけた違いに多いに違いない。
二三日前にサラダを冷やす用の大きく作ってある氷の欠片で指先を切った。鋭い痛みを感じて指先を見ると傷などない。しばらく見ていると水でぬれた皮膚の下から油を流したように血が湧きあがってくる。慌てて止血し絆創膏を当てた。傷口が見えないのになかなか止まらないくらいの流血で、一日置いた今も指先に鼓動を感じる痛さが残る。
そそっかしいものでこのような傷はしばしば負うのだが、傷を受ける瞬間の衝撃と数日を支配するほどの痛みはよく知っている。ましてや泥の中の鋭いガラス片が多数ある状況は、固まってしまうほど恐ろしいものである。