夜叉塚

夜叉塚脇の額紫陽花も台風にやられたみたいで、何時もなら塚を隠す勢いの葉と花は地になぎ倒されていた。春には寄り添うようにあった桜の木が嵐で裂け、その傷も未だ生々しくあるというのに。無防備で心許なげな塚の居住まいに、じわじわとした怒りの形相が読めたような気がしたのが妄想だけでないことを祈るのみ。