寝茣蓙

復古ブームだからなのか節電対策だからなのか、スーパーの家庭用品コーナーで結構見かける。藺草を染めて模様編みにした花茣蓙とか、縁の色も取り取り
兄弟の多い末っ子の母から寝茣蓙の話をよく聞いたことがあって、関西の生まれだから関西の文化かと思っているた。
夏の寝苦しい夜などには各自自分の寝茣蓙を持って風通しの良い廊下とか、縁側などに陣取って休んでいたとかいう話を聞いたことがあるが、殆ど男の子(伯父)達のすることで、本来は布団の上に敷いて使うものだとおもう。
楽しそうな情景ではあるが、畳の上で転寝などすると中々消えない畳の跡が、うっかりすると顔などにもつくことがあり、却って汗でへばり付く感じがしてあまりピンとくる風物ではない。
それよりも時代劇とか歌舞伎の中に出てくる夜鷹のイメージが浮かぶ。夜鷹とは三味線と畳表を巻いたのを持って辻に立つ遊女である。斬られ与謝のお富さんみたいに洗い髪を梳き櫛でちょっと横でとめて、手拭いを目深く被り、飛ばないように端っこを咥えている。太地喜和子のような女優がやったら絶品の世を拗ねた風情のかっこいい役処だ。寝茣蓙というとその遊女が持っている茣蓙が思い浮かぶのである。私が子どもだったら確実にまねるな。そして叱られる