金亀子

朝、緑色に、玉虫色に、輝く黄金虫が水たまりに顔を突っ込むように死んでいた。あまりにきらきらと輝くものだからまだ息があるかとしばらくほおっておいたが、夕方も同じ場所でがさとも動かないでいたのでさっき風船蔓の根元に埋けた。暑いとはいえ未だ7月のうちなのに。黄金虫は夏の虫だろうか。夏のように思う。
冬の間、ベランダの土の中にいたやつかと思うと不憫だ。蝉の様に何年も幼虫のままではいないようだから、またどこかへ卵を産み付けて逝ったのだろう。大切にしている植物の根を食わないと約束してくれるのならいても良いよといって葬ったというより土の中へ戻した。

  • 金亀子と書いてこがねむしと読ませ、夏の季語とあった。カナブンだ。夏の夜灯火めがけて飛び込んでくるやつ。死んだふりの上手い虫!こいつだったか

  ぶつかるは灯に急く途の金亀子   中村汀女