鬱々の春

桜の開花が記録的に早いのだそうだ。それで嬉しいかというとそうでもない。沈みがちですらある。おそらく急激な温度の上昇と花粉だけではない雑味の多い大気の所為だ。
一斉に咲きだした花々、芽吹きだした植物の香りだって香り物質といわれる成分だから、呼吸するたびに摂取すれば、体内に取り込まれて体中を駆け回るわけで、その抗原抗体反応は気分にも多大な影響を及ぼすわけである。
もともと春の混乱な気候が好きではないいというのはあるけれど、開花する花の美しさや感動を否定するわけじゃない。不快要素とのバランスの問題で、今年はどうも不快要素の方が上手で、風雅の心の居場所に余地がないようなのだ。