丹桂

AVRIL2013-10-11

葉を傘に 乱れ咲きにし 香り花   散り際見事朱に影の落つるが如

金木犀の季節も去ったようである。今年はこの香りが重すぎて花期の終わりに安堵を覚えるほどだった。
まだ完全に夏のダメージから回復していないというのもあるけれど、今年はいくつかの樹木の魅力的な香りを知ったからというのもある。
大風の後だったか青いどんぐりの実を拾った。割ろうとして爪をたてた傷口から濃い樹液とともに滲みでた香りの甘く甘美なことと言ったらない。嗅覚を越えた何処か別のところから流れてくるような幻惑的なかほり
更にその少し前、気にしていた四季美の実が落ちたのを拾い来てしばらく眺めていると、言われている通り八角そっくりに変身し、眼開きたるが如くに奥から艶やかな種の本性を覗かせた。しかも目を開けると同時に得も言われぬ芳香を放ったのである。その麗しいことと言ったら、想像していた以上だった。厳密に言うと拾ってはならないものなのだろう。密かに眺め、味わったという負い目みたいな禁断という要素もあってのことだから、木偏に密の文字の意味を五感に感じたとも言える

写真赤い実は木蓮かと思う  樹になったときはグロテスクでびっくりした。これも微かだが甘く香る。