秘色色(ひそくいろ)

ちょうど今日の空の色。雲一つなくのどかで暖かそうな明るさに満ちているのに奥に暗い色調を忍ばせてみえる
青磁にはいろいろな色味があって、いわゆる空色もあれば、深く佇む湖の蒼もある。
五島美術館の中国陶磁器展を見た。青磁だけでもあらゆる階調のものがあり、その美しいこと。今現在も蒼の溜まった陰刻の溝や皿の底などのイメージを反芻するかのように思い起こしてはうっとりするほどだ。あれは魔である。どこかに連れて行かれそうな恐怖のようなものすら感じる。  
たとえば、砧青磁の明るい空色の肌の奥に限りない闇のような色調を認めることができる。 釉に鉛を使っていて、明るさの裏側で深い闇のように見えるのは辰砂の赤の発色が起っているからなのではないかとか、もっともらしい理由を探している自分がいる。魔性を解剖しようとしているのである。
青空を見つめていると背後に宇宙の闇が見えたように思うことがあって怖くなる。そんな時、日常に戻ろう頭蓋を振る、そんなかんじで