風蘭

年明けのぼろ市へ出かける。暮れに地方物産店で購入した冬蝱の干椎茸で乾物寿司を作ったところ上手くできて干し椎茸というものは旨いものだなと思った。もう少し買っておけばよかったと欲が出たが、保存がきくといっても長くおくのはよろしくない。迷ったあげく劣化との戦いと一年で使い切る覚悟をして買い足しに出かけたのだった。干し椎茸は大っ嫌いだったんだけれど、最近の乾物は日向臭さというものがあまりないから食べる気になったのかなとも思うが。
と 大義は干し椎茸の買い出しなのだが、もう一つ楽しみにしているものがある。代官餅を売っている近くにいろんな植物の市が立っていて、中に蘭とか地衣類などの山野草を売る一画があるのだ。毎年その規模やら内容がまちまちなのがまた楽しい。
今年は風蘭の鉢が二つ三つあって、そばで主と客のやり取りを聞いて欲しくなった。縦横高さ5〜6センチ四方の大きさしかない風蘭の鉢は1500円〜2000円。墨片にしがみ付く様に根を張っていた。


:昔は伊豆の山奥で自生しているのを取ってこれたものだ。(高すぎると言っているのだろう)
売り主:今は監視が厳しくて、(監視員はその道の専門家であるから、目を逃れることなんかほとんどできない)採ってきたところへ戻しに行かされたうえ、無事に根付きが確認されるまで近くの民宿に宿を取らされて、水遣りなどの面倒を見させられるよ。


それを聞いて、ほ〜と思った。ここにあるほとんどが多分、保護指定植物だろう。それを違法でなく売っているということは、これは栽培されたものなのだ。貴重な植物を保護研究しながら増やした余りを分けているということなのだろう。売り主は監視員もかねているのかもしれない。法の裁きを受けるより植物に奉仕をする方が楽なのだろうか、黙って従うのは犯行を犯した方も植物好きとだからなのだろうか、独自の決着がつく世界があるってことだと思っていいのだろう。
そこにあった風蘭がとても欲しかったが、枯らさず育てる自信もなかったので知識を得てからにしようと思いとどまった。それでも風蘭は得も言われぬ香りで魅了すると聞けば、失敗も経験値になるだろうに、などと未練がましい思いも捨てきれず...仙境に遊ぶ心地を初夢にみた

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