気配

立春を前に早かろうかと思うが、春の気配を感じて慄く心持もある。
時候とは動くもの。本日などの寒さなんかは骨までしみとおるようではあるが、もはや真冬の一本筋の通ったような凛としたものはないように思う。雑味を多く含んだ早春のねちっこさのある寒さとでもいおうか、春に向けて準備を整えている動植物のざわめきがうるさくなってきたようである。
早春とは冴え返ることが繰り返されながら仲春へと進んでゆく準備の期間で、冴え返るとは、光や音などが非常によく澄むこと、また大気の冷え切った様子をいう。して、こんなふうに使われたりすると言葉だけで凍えてしまいそうになる。

「しぐれつる宵の村雲冴え返りふけ行く風にあられ降るなり」  新後拾遺和歌集  

今日はずっと雨だろうか。 冬の二日月は断つより刺すという方が似合いそう。 魔を断て邪を射れ二日月