赤い月

AVRIL2015-02-06

数日前。確か明け方から雪が降り、大雪になるだろうという予測が出ていた夜に入ろうとしていた日暮れ。
明るいうちから出ていた十六夜の月は(そう十六夜!好きな月齢であるから確かだ)
濃さを増す空との境界を際立たせながら東の低い位置で膨張しながら赤みを増して...それは壮絶な姿に変化してゆくのを唖然と見ていた。
すると、強い草息のような匂いが何処からか押し寄せてきた。足元の暗がりに目を凝らすと、路肩に色々な種類の草花が植わったプランターが並んでいて、其処に植えられた全ての植物が満開の花を咲かせて香っていたのだった。
白や紫、黄色と色とりどりではあるけれど印象の薄い花々で、野生ではなく1種類を広範囲で栽培する芝桜のような園芸用の花だとおもう。その余り種を蒔いたのが一斉に満開になっていたのである。単体では薄く甘い香りなのだろうが、赤い月と一斉に個を主張する多種の花の香りに落ち着かない奇妙な気分を味わった。