五月雨

さみだれに ものおもいおれば ほととぎす よぶかくなきて いづくゆくらん  紀友則

五月最後の深夜、明け方も近いのだろうか。考え事などして眠りそびれておりますと、流石疲れた頭の中に雨音に交じって古人が絹を裂くようなといった鳥の声。時鳥とは言うけれど、ありゃ鵺に違いない。物思いなんかしてたって一文にもなりゃせんぜといって飛び去った。

ほととぎすほど名を多く持つ鳥も珍しい。なかにあやなし鳥という呼称があって、あやなしって文無しって書くんだよね。理屈に合わないとか間尺に合わないとか、意味ないじゃんって意味もある。『今日で五月も終わりよ。時は金なりもたもたするな』って触れ回ってたんだね。ありがたいとりだな