すみれのこと

AVRIL2018-04-25


私の庭にある菫はアリアケスミレという種類らしい。

和訓栞(わくんのしおり)という江戸末期から明治初め頃にかけて刊行されていた国語辞書によれば
「ありあけ、有明の義、十六夜以下は夜はすでに明くるに月はなほ入らである故に云うなり」
明け方のぼんやりした光の様子またはその色。あるいはその折の月自体をいうようだ。
白の地に紫の筋が入った花を表するのに、うすぼんやりとした光の様を当てた昔の人のセンスに思いをはせる。清々しくも哀愁漂う何とも豪奢な名だ。

花は終わり、閉鎖化花が膨らんで間もなく弾けて種を飛ばす。



*スミレの仲間は、通常の花(開放花)の後に閉鎖花をつけ、昆虫の送受粉なしに自家受粉によって結実する。
この気高いような特性、開放花のことを教えてくれたのは、昨年暮れに亡くなった同級生だった。
今年Facebookで君の誕生日の知らせが届いたころに花を咲かせたよ。なにやらゆかしここちこそしたわけだ