虫の音

AVRIL2009-08-21

昔、鈴虫を飼っていて、それは夏休みの宿題のためではなく、家のものの誰かの趣味だったみたいで、熱帯魚の水槽に土が入れられていて、冬中も時々霧吹きで乾燥しすぎないように世話を焼かれ、卵がかえる頃になるとみんなの不安の入り混じった視線が届くところへ引き出されていた。子虫が孵ると茄子や胡瓜スイカの皮、煮干や鰹節などで飼育し、今頃ようやっと格好だけは成虫になって、そろそろ羽をこすり合わせる構え位はするようになっていただろうか。それからあの甲高い鈴の音を出す修行が始まり、がさがさシャラシャラ猛練習をするのだ。
特訓は早始まっており、蝉に混じって他にも蟋蟀やら何やら秋の虫も複雑に入り混じり、シャラシャラは増幅して。。夏疲れの苛立った神経に金曜の夜の気の緩みもあり眠れぬ夜は更けて行く。
風船葛の色が急に抜け始めていて、それはそれで大変綺麗なのだが、夏という季節は最後の最後までもじっとりべたっと寂しさを演出しながらも暑く又お会いしましょうとでも言っているようで、うんざりする。