2016-06-01から1ヶ月間の記事一覧

蝸牛考

天気図の上を雨雲の等高線がアメーバのようにぬめぬめと日本列島に覆いかぶさり進んでゆく様は、蝸牛が紫陽花の葉の上を行くのに似ている。そういえば葉の上の予測不能な足跡を最近見ない。都会では生きづらい生物なのだろうか。蝸牛〈かぎゅう・まいまい・…

『欲望』

この数週間というもの権力欲に目が眩んだ人間を気が気でない思いで見せつけられて結構な疲労をため込んだみたい。で朦朧としている。 どのメディアも細かいことをあげつらって小突き回すように一人の政治家を責め立てる。その世間も怖かった(まだ終わったわ…

『癩王のテラス』

劇場中継を撮りおいていたのを見る。 私はこれの初演を建て替えられたばかりの帝劇で祖母と見ている。 三島も健在であったから多少の意向が入っての舞台であったと思う。小学校を卒業したばかりの子供にとってあの帝劇ロビーのフカフカ絨毯の感触は、演劇の…

小雨の中

運よく傘を広げる事なきを得た昨日の散歩。 つゆ草の蒼にハレーションが起きないのは日差しのないせいだろうか。梅雨空は嫌いじゃない。水不足だってニュースが伝え、干上がりかけたダムの写真を掲げる。この夏は取水制限があるかもしれないとも 水の無駄遣…

みたておもだか

毎年のように慈姑を芽吹かせてはおもだかやとかいって一人悦に入っているのが今年は駄目の筈だった。 保存が雑だったようで大きい慈姑はカビて腐ってしまった。ところが一個一番小さいやつが芽を吹いているところを見つけ、次いでもう一つ隅に転がっているの…

沢潟の銀の花咲く夏が来る

梅雨空を 映してゆれる 河童淵

中華街

夏の食卓に欠かせない凉拌生菜(リャンバンションツァイ)と皮蛋豆腐の材料を買いに出かける。 拘りに託けての里帰りみたいなものなのだが、ここでしか手に入らないものもある。 例えば、黄身のしっかりした皮蛋。透明で清涼感のある百パーセント緑豆の春雨…