春の妖気

静嘉堂文庫へ駆け込みで曜変・油滴天目を見に出かけた。こういったものは駆け込みで出かけると混んでいて、味わってみるなどという見方はできないことは百も承知のはずなのに出かけたのは、陽気に惑わされたとしか言いようもない。
二子玉川の駅から方向だけは定めて住宅街の路地を歩く。帰りも別の路地を歩いた。
色々な花の香りが綯い交ぜになってえもいわれぬ夢見の道をたどっているようで、とんでもない混雑の人の間からもしっかりやられた曜変の妖気にくたくた。