災難

昨日は肌寒くはあったがもはや青葉の頃を思わせるような。。。と言うより百花繚乱、八重の桜に藤も満開。藤は五月だろうに今にも散らんとする風情だ。
用事を済ませ、少し長めの散策の仕舞いに夕餉の買い物を済ましてマーケットを出てとんでもないものを見てしまった。
パキパキとそんなに大きくはないけれどギクッとする衝撃音に反射するように振り返えると、買い物を終えて荷を自転車に積み込んだ初老の婦人が遊歩道の植え込みで、咲きはじめたばかりのつつじの花を手折って花束を拵えている。躑躅って簡単に折れるんだ。。。
音も衝撃的だったが、花を手折るその人の実に楽しげな屈託のない様子に唖然とした。悪びれる様子もなく変わった人の気配もない。むしろ善良そうな普通のおばさんだった。

花泥棒は花にそそのかされて周りを伺いながらそっと摘む。その罪悪感があるから罪に問わない、とかつては言えたのだろうけど、今は罪である。
何から何まで細かい取り決めがなされなければ成り立たぬ世の中になったので、そうなった。
つつじの手折られる音が鼓膜を通り越して脳内をめぐり、今はちょうど鳩尾の少し上のあたりにとどまっていて重く、眠りを妨げている。事故にあったようなものだ。これは暴力だ!