物思いの季節

人がメランコリーに囚われる季節は一年の内なら春と秋。暑すぎず寒すぎずの体の負担が軽くなったこの季節に多い。メランコリーに陥るいうのはとても贅沢な時の過ごし方だといってもいいと思う。

「那(あ)の年頃には間々有ることで、なに、些(ちょ)っとした一時の悒鬱(メランコリヤ)でせう」恋ざめ 小栗風葉


メランコリーを広辞苑で引いてみると同意語としてメランコリアがあって、ギリシャオランダ語で黒い胆汁の意とあり、何故か尾崎紅葉の弟子である小栗風葉の小説からの引用があった。黒い胆汁というのは精神病理学系某の書物で読み知りはしたものの、唐突な雑学の押し売りを受けた感がある。
まあメロドラマ系の安っぽさが似合うと言って言えなくもないな(大衆文学を馬鹿にしているのではありません)

胸の奥に痞える様に湧き上がる悲しみの塊的なものは、普段よくものを考えない人間にも少しは考え深くなるきっかけを与えてくれるように思う。いいことだよきっと。永遠の中二病のどこが悪い。