祖母の味

三度目の芹ご飯を拵える。

祖母は摘み草が好きで春になるとまだ活動していない水田や小川の土手などで芹や蕨を摘んだ。幼い私もよく連れて行ってもらったのだが。。これは一日がかりの重労働を要す行楽で それは夕食に皆で食卓を囲むフィナーレに至まで続く。長時間同じ姿勢で摘むので足腰は強張ったし 摘み終わって家へ帰ってからの後処理が草を摘むよりまた手間が掛かった。
摘んできた芹から混ざってしまった別の雑草や葉を取り 拾った土を洗い落として藁を燃やし作った灰アクで茹でる。水で晒し細かく刻んで刻んだお揚げとたっぷりのオカカと油で炒め醤油だけで味を調える。。ふ。。其れを炊きたてのご飯に混ぜる。
手順が大事にされていて一時も気がぬけない。だから夕餉の食卓を囲んだときの嬉しさは格別で 他に惣菜がなくても芹の香りがたった飯はあっという間に底をついた。

昨今売られている芹は生でも食せるが香りに足りない。それでも田芹の群生するところは殆どないから 之をさっと茹で同じ手順で芹ご飯を拵える。淡いなりに春の香りのご馳走になった。 


それにしても今日日の野菜はあくがない。ほうれん草を茹でても茹で汁は淡い黄色で牛蒡は水に晒さなくてもさほど変色しない。あくと共に貴重な成分までも抜いてしまった現代の知恵とはナンなのかな。。