つくづく

現ってやつは夢と余り変わらないな。なんて思ってしまっているとあれよと言う間にちりが積もり冬までもつから冬瓜と云う冬瓜まで萎びてくる。
嘗て画商が寄って集ってぶら下っている絵描きさんのアトリエを訪ねる機会があった。広いアトリエの其処此処に絵そのものみたいなモチーフが組まれていて感心していると妙なことに気付いた。幾つかあるモチーフの上に霧みたいな靄がかかっている。其れをよーく見てみるとその霧みたいなものが小蝿の群れだと解った。林檎も洋ナシも葡萄もメロンも置かれたときのままの位置で萎び腐っていた。風も通わぬ孤独の部屋が果物の腐乱し凝縮された甘い香りで満たされている。来訪者の雑な動きで重く澱んだものが浮上して認知されるに到ったのだ。かき回さなければ香りもそのまま化石となって知覚されずにすんだのに。。だろうか。否!目撃するまで彼の絵が好きではなかったがあの短い訪問のお陰で少なくとも注視する様にはなったので良かったんではないかと思う。写真の被写体には格好なのだが。。作ろうったっておいそれと作れるものじゃないよアレは。。。
掃除しよ!。。