フラッシュバック

何十年ぶりかで日生劇場へ出かけた。芝居が見たいという年寄りの望みを叶えるために見てもいいプログラムを決めるのに結構かかった。
日生劇場の天井が直ったらと内心思っていたのもあった。あの阿古屋貝を埋め込んだうねる天井波打つ壁をまた見たかったし、といろいろ欲張った結果、日生劇場五月公演「越路吹雪物語」に決めた。
池端慎之介が越路役で岩谷時子を高畠敦子という芸達者の配役で見ごたえもあったし、装置とか衣装とかが祖母と見に行っっていた本物のコンサートを再現している趣向なども楽しめた。
越路の歌の歌詞の殆どが岩谷時子であったこと、パンフレットに歌詞が書いてあって夢中で読んだことなど思い起こし、纏めて捨ててしまったことを悔いた。
レコードを引っ張り出して歌詞を書き取ったりしながら聞いてみたり岩谷時子の著作本でも探してみようかとかコンサートや芝居を見たあとのぼんやり感というのか浮遊感が懐かしく蘇っていて奇妙な時の乱調をもうしばらく味わっていてもよいかと思っている。