闘病

AVRIL2008-11-11

風邪を引き部屋を暖めて夕飯などはあるものでと決め込む。あれをしなくちゃこれもしなくちゃ買い物へも出なければなどと考えて過ごす日常にない安心みたいなものが病の回復を遅らせるのではないか。などと微熱にぼわんとしながら考えたりしている。
数日前乗った地下鉄の隣に座った人が派手に風邪を患っていて、これはうつるなと覚悟はしていたので仕方ないといえば仕方ない。
春に見た柿右衛門がまたテーマを変えて数みられるというので出かけてみたのだ。酒井田柿右衛門というが佐賀有田の陶工で個人名ではない。江戸前期初代が夕日に映える柿を見て赤絵磁器を完成させてより今に至るまで代々技をつなぎ現代にまで受け継がれている伊万里焼の陶工集団の名といってもよいのだと思う。
個人的に柿右衛門様式の彩磁器の色が好きで見に出かけたのだが十二分に味わった後でロビーで煎茶などをいただきながら外を見ると出かけるときは曇っていた空に遅い午後の日差しが現れてきてまるで雲が発光しているかの様に見えた。千度を越した辺りから窯の中の焼物は内にある自らの不純物を普遍の美へと変容させるために光を放ちはじめる。磁器は最終的には千三百度を超えるはずだ。千二百を超えると凝視するのがつらい。。
ぞくっとしてくたっとしてぼーっとして今に至る。