どくだみ

蕺・蕺菜と書き、蕺一字でどくだみとも読むが、しぶきと読ませ、ギシギシという別の植物の名称でもある。以前にも佛の座という名を別種の植物が共有しているのを知ったが、雑草の世界ではよくあることのようである。蜻蛉日記にも『池にギシギシというもの生たり』とあるから古参の植物みたいだ。羊蹄と書く。
どくだみのほうも羊麻草とヒツジの名を戴く可愛らしい別称を持ってはいるが、魚腥菜(ぎょせいさい)・地獄蕎麦・他諸々、悪臭の所為で酷い名をつけられている。はなまぐさいと読むが、同様、普通の変換では出てこない文字だった。
因みに、の字のなまぐさいは、生肉や脂肪のつんと鼻に来る匂いだそうで獣臭の意であろう。
『高原水出でて 山河改まり 戦地風来たりて 草木腥し』13世紀ごろ金朝末期の詩人元好門という人の詩が辞書で引き合いに出されていて、古戦場においてふと感じる血なまぐささ、みたいな感覚に寒気を覚えた。にくづきにほしか。。。

屁糞蔓は本当に一寸ごめんな臭がするが、どくだみは清涼感のある苦味みたいな匂いで嫌いではないのに酷いことである