ルオー

日曜美術館でルオーを見た。汐留の松下コレクションからの紹介のようであった。
出光美術館を見にゆくと必ず数枚のルオーを見ることができる。仁清や柿右衛門光琳や応挙を堪能したのちに、別に設えた小さな展示室で数枚のルオー、というのが楽しみであったりする。
展示拝観ののち、お濠を見下ろしながらお茶を戴き、展示の余韻を楽しみながら一休みする。陶片コレクションをマニヤックに見たならば、一応レゾネとかポストカードをチェックすると、丁度向かいあたりに小さな部屋があり、其処に必ず数点のルオーが掛っているのである。
落とせば割れるのではないかと思うほどの厚塗りの作風ではあるが、西洋絵画には珍しいほどの静寂に包まれた心の平安を味わうことができる。二十世紀最大の宗教画家といわれる所以がそこにあるのだろう。
仁清とか柿右衛門の作品というのは思いの他心かき乱されるものがあるが、最後にルオーがそれを収めてくれて、心地の良い疲労感と共に帰途につける趣向が施されているような気がしてならず、為にこの画家を愛するに至ったような気がする。
ではあるがいちどきに大量見るには勇気がいる。昨今弱り気味を自覚するから尚のこと、な気がしてならない。二三枚の悦楽が丁度良い気がして出向く気は萎えるのであった。

10・24  とんでもな間違いを修正いたしました。。。