迂路

AVRIL2015-01-05

師走も切羽詰った頃、不確かで想像の域は出ないのだけれど小さな疑問に道が見えたことがあった。
家の露台の片隅に十年以上生息する山椒の鉢を一つ持っていて、春には眼福舌福ともに満足させてくれる友のような存在になっている。が手狭さゆえの悩みもあって、初めは年ごとに大きな鉢へと植え替えなどしていたがこれ以上大きな鉢へは無理となってから数年。根が回り、硬くしまった表土には苔も生え、根が瘤のようになって持ち上がって、古木の風格を年降るごとに増して来ているようである。
それへ数年前から、冬になると小さな穴のようなものが穿たれるようになって、初めは雨だれであいたものか、あるひは根の張り具合で陥没したのじゃないかと思っていたが。。気にはなるものの調べようもない。山椒をいじるとなると棘が怖いしするのでほっておいたところ、、、ふと一昨年の夏に蜥蜴を見たと思ったことと結びついたのだ。http://d.hatena.ne.jp/AVRIL/20130709
見たといってもほんの一瞬目が合っただけで暑いころのこと、幻のような残像があるだけだ。冷静に考えればこんな土の肌も見えぬ都会の空中、仲間もないのに居るはずはない。。。幻である確率の方が高かったので薄らいでいた記憶と


迂路(うろ)とは遠回りの道という意味である。土に穿たれた穴のことをうろといい、【空・虚・洞】の字を当てていいと思うのだが、この文字ではうろとは読みにくい。それにあの穴は春が来るたび新芽に驚き、喜び、惑った年月の思いが穿った空洞に違いないから迂路という文字を当ててみた。都会に迷い込んだ金蛇が住処とするにはうってつけではなかろうか。
この小さな夢のような空間に迂路庵の名を掲げたい。そして何時か何かに使うことにしよう。

なににかに たどりつくまで とおまわり よりみちほそみちまいごみち 


(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%83%9B%E3%83%B3%E3%82%AB%E3%83%8A%E3%83%98%E3%83%93