蝸牛考

天気図の上を雨雲の等高線がアメーバのようにぬめぬめと日本列島に覆いかぶさり進んでゆく様は、蝸牛が紫陽花の葉の上を行くのに似ている。そういえば葉の上の予測不能な足跡を最近見ない。都会では生きづらい生物なのだろうか。蝸牛〈かぎゅう・まいまい・まいまいつぶり〉

紫陽花には何らかの毒あるらしい。虫食いの葉をあまり見ないのはそのためなのかもしれない。かたつむりの迷走のあとにも食んだ跡を見た記憶がない。他の虫、蟻とか蟷螂とかの忙しない動きをする輩の来ないところでゆっくり思索でもしたいのだろう。

「蝸牛の角上の争い」「蝸角(かかく)の争い」って成句。些細な争いって意味だそうだが、両方同時に引っ込めることのないあの角を思い出してみれば到底些細とは思えない。粘着質でしぶとい泥沼の争いってイメージするけど。。喧嘩するのかな



雨乞いのつもりの雨の幻想 なのに すっかり晴れちゃった