夢の中の夢

思う所があって、鏡花の「夜叉ヶ池」を読み返したりしたせいもあるのだろう。一対大勢のなかで身動きの取れない一の悲しみが夢に現れて、涙で窒息するかと思われるような悲しみの中で目が覚めると、よく知った顔が心配して介抱してくれる、という夢で、悲しみのあまり泣き、安堵の中で泣いて目覚めたものだから、瞼の腫れがいまだに引かない。