鰯のつみれ鍋

ひゃっこい大気には濃度があって、絡みつくような気温の低さが骨の芯まで体を冷やし、思う以上に疲労する。異様な眠気もここに起因するのだろうし、花粉や風邪の菌にも弱った体力は逆らえないから過敏にもなる。明日からまた数日寒くなるとのことだからさらに注意をしなくてはいけないだろう。とはいっても自己防衛法としては十分な睡眠と栄養豊富な優しい食物くらいしかないしまた自然とその様なものを日々選んで食しているようでもある。
魚屋で真鰯が一山になっているとつい買ってしまい、つみれにして大根と鍋に仕立てる。真鰯の旬は初夏から晩夏にかけてだけれども、あの脂がのってはち切れんばかりに太った奴はどちらかというと苦手だ。時々一山になって売られているところを見ると、油少な目の今を狙った鰯ファンも結構いるのだろう。
油の少ないというのはさばきやすいということでもある。頭を落として手開き、骨を除いて皮をはぐ。魚と目線を合わさぬように、目玉を見ないように見いないようにで結構手馴れて仕事も早くなった。大根ももう盛りを過ぎたようで無駄に水っぽく、火の通りが早い。最後に芹を飾れば早春の極上鍋になる!