須美礼

AVRIL2016-03-08

菫のことである。持っている松田修著「万葉の花」には須美礼と表記されていてその理由は述べられていない。
はるののにすみれつみにとこしわれぞのをなつかしみいちやねにける  山部赤人
万葉集には須美礼の文字が使ってあるのではないだろうか。今使われる菫より柔らかな感じがしてよい様に思う。

家の須美礼は常盤忍についてきて数年謎の植物であった。
菫みたいだと思ったものだから大切にして花を待ったが、待てど待てど根本より上がってくるのは風船みたいなもので、咲くのかなと思っているとある日三つに割れて種を見せる。春から夏中それを繰り返し、二年余りが過ぎた去年の初夏やっと花を咲かせた。
万葉の花の写真はつぼすみれで真紫のザ・すみれという色をしている。ほかの図鑑を当れど、ぴったり当てはまる種がない。というよりその種類の多さにびっくりした。葉の形花色から一番近いものはアリアケスミレなのだが、調べていて【菫細辛】というのに行き当たった。地下に太い根茎がありという説明が引っ掛かる。まあ冬には地上部は枯れているのだけど春には同じ場所に芽吹く多年草ってことなのだけど、古称をみらのねぐさという。みやびっぽくていいね!
植物学というのは結構大雑把ところがあり、厳密に追いかけきれぬところが好きだ。細辛(さいしん)というのもたんに菫のことなんじゃあないかな
風船状のものは、昆虫などの送受粉なしに自家受粉で結実する閉鎖花というもので、今年はそこかしこにすみれかなと思われる芽吹きがあり、なんかうれしい。


閉鎖花